雨鱒は例えるなら、いぶし銀の素浪人のような印象である。
この所、恵まれない天候にいらいらさせられ、
しかしながら遊んでくれる雨鱒たちには、感謝しながらも、
味方してくれるコンディションが無い事に忸怩たる想いであった。
しかし、この日、この時は違った。
正面から昇る朝日に川面は金色に光り輝き、
あちこちで太く、力強いライズが続き、臨んだ者達の期待感は、
恐らく最高潮であったろう。
私が立ち込んでいるところはなかなか渋かったが、
キャストを繰り返す事、どれくらいの時が経ったろう、
それでも、満足の行くキャストが出来た時のリトリーブは、
ゆっくりと丁寧にフライの挙動をイメージしながら行った。
あるところまで来ると、ラインがびくともしなくなり、
またもや根掛かりという憂き目にあったと錯覚した途端、
水面に突き刺さっているラインがあちこちと動き回った。
さすがに、焦りを隠しきれず声を上げた。
「どうしよう!」 自分ではそんな自分にあきれたが、
幸いな事に周りはすこぶる、和んでくれた。
いつまでも遊んでいたいが、あまり時間をかけては、
雨鱒に与えるダメージもシビアになる。
何とか岸に寄せ、同行した釣友に協力を頂き、
双方、満足する中、記念撮影。
有り難う。