しかし、このような美しい昆虫たちを見ていると、
どうしても、川に立っていたい衝動に駆られるのである。
これまで、良い思いをしてきた河川はどこも濁りが出ているという。
釣友と相談し、久々の河川のしかも上流に足を運んだ。
息を呑むような、まるで日本ではないかのような情景に、しばし見とれる。
ここは、北欧のツアーカタログにでも出て来そうな…
我を取り戻し、そそくさとラインを出しながら、
丁寧にトレースしてみたが、答えてくれる者は無かった。
この後、我々は更に上流に探索に向かった。
「最終地点とは一体、どんなところだろう」と向かってみると、温泉だった。
恐らく訪れる機会は今後、ほとんど期待できない事を会話が無くとも、
互いに認識していた。示し合わせたかのように、ウェーダーを脱いだ。
この日は、水温も低く、日差しもまばらだったため、釣行中は寒かった。
この所、立ち込んでいると左膝に痛みを感じていたが、
入浴後、それが消えていたのには心底驚いた。
本州から鉄馬に乗ってこられた方や、
想像するに道内の温泉を巡っているとおぼしきグループの方々と、
歓談しながら秘湯に浸る時間は、贅沢きわまりないものだった。
釣行中であった事を思い出し、次なる河川へ赴いた。
この日は、新しい楽園とも言うべき2kmに届かない流れを堪能した。
私は懲りもせず、翌日も赴いた。何度もアタリはあるものの、
ノリが悪く、悪戦苦闘していると、上流から、ラフティングボートが2艇!
絶好のポイントを下っていった。久々に脳内で自身が崩れ落ちた。
それでも、遊んでくれる鱒が居たのは、
消えかかったモチベーションを多少なり回復してくれた。
20cm程度ではあるが、ランディングしてサイズを目の当たりにするまで、
どこに、ファイティングパワーがあるのか不思議な位、手こずらせてくれた。
この者を育んだ河川に対して、
また、フライフィッシングによってこのような贅沢な時間を過ごせる事に、
感謝する日々である。
しかし、環境について少し感じる事がある。 「ごみがひどい」
ラフティングボートが下ってきたのは2回目であるが、
それは釣りにとっては困った事ではあるものの、
鱒が居なくなったりする訳ではない。
天を仰いで、次回に期待すればいいのである。
この所、各所で目にするテグスや仕掛けの投げ捨て。
手の届かない木の枝や河床の根掛かりならいざ知らず、
岸辺や草木に絡んだものなら回収すべきではないだろうか?
更に煙草の吸い殻やカップ麺の容器 etc
直接、手で回収するのは嫌なので、
何かそういったものをつまんで拾って帰って来られる物を考案しよう。
捨てる事に何のためらいも感じない人の耳元で、
注意をしたところで、変わる事は無い。私はそう確信している。では、
汚す人の2倍、回収する人が居れば、少しは汚染の抵抗力となるか?
贅沢な時間を過ごす一方で、
そんな光景も見ざるを得ない最近の釣行であった。
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